そろそろ生後9ヶ月
おでんの用意をしたのに、飲んで帰るのLINE。
そりゃないぜ旦那さん。
なんだか今日は息子さんの機嫌も良くて、家の中も片付いてるんだ。
あなたが帰ってくるからって、ウキウキでいろいろしてたのに。
話したいことがたくさんあったのに、ストーブの上のおでんの湯気と一緒に、どこかに消えてしまったぜ。
息子さん離乳食もヨーグルトももりもり食べて、まだよこせって唸るから、私はおでんを食べながらウエハースやらボーロやら欲しがるままにあげたんだ。
もう9ヶ月だもんねぇいっぱい食べれるようになったねぇって。
したら吐いた。
元気だから安心して。
君が何者でも君は愛されていたんだよ
彼女にとって私の夫はひ孫にあたり、私の息子は玄孫にあたる。
霧雨の寒い5月。
昔ながらの古い農家そのものの、代々の位牌が並ぶ黒い柱のその家に、初めて息子を連れて行った時、すでに口数も食欲も少なく動きも最小限になっていた彼女は、長座布団に横たえた赤子に膝を使ってにじり寄り
「風邪ひかせちゃあなんねぇどぉ」
と何度も繰り返し、柔らかいバスタオルをかけ、何度もそのバスタオルを微調整してくれた。
次の月、息子のお100日に行くと、その短期間で彼女はオムツを付け夜中に徘徊するようになっていた。
それでも赤子をそっと抱きしめ、しばらく顔を眺めていた。
また次の月、彼女はもう病院のベッドの上で、大勢の子や孫、ひ孫に囲まれて、ずっと眠っていた。
そしてその次の週に、静かに息を引き取ったという。
私の息子は、彼女が出会えた、たった1人の玄孫にあたる。
この子を抱いたあの日、何を思ったのだろう。
この子がこの子だって、わかっていたのだろうか。
「玄孫を抱く優しい顔に懐かしさを感じたのは、私達も同じように愛されたからでしょう」
息子の大叔父、彼女の孫の、弔辞がそうなら、そうなんだろう。
君が何者でも、君は愛されていたんだよ。
無事出産、退院
3月11日午後、無事出産。
産後あっという間の7日間が経過して、やっと今日退院です。
35日ぶりに、やっとおうちに帰れる。
しかも、ちゃんと我が子を連れて。
身体はまだまだしんどいし、授乳も夜泣きも、旦那くんと手伝いに来てくれる母との関係も不安だけど、今はただ、感謝。
明日ついに帝王切開!
怖いぞ!
未知だぞ!
よし発想を変えよう!
実は全然怖くねーし!
ゆっとけば周りが優しくしてくれるからゆってるんであって全然怖くねーし。
実は大したことないかもしんねーし。
未知とかゆって、うちの猫さんにヤられたときのほーがぜってーいてーし!
息子よ。
たった今的確に筋腫を狙って蹴って、母を唸らせた息子よ。
とりあえず無事に生まれろ。
それなりに健康に育て。
明日の昼過ぎ、お前の世界にいきなり風が入ってきて、バアッと眩しく明るくなる。
たぶん今いる所より、メッチャ寒くてビビる。
問答無用で肺呼吸しなきゃいけないけど、ひゃっくり頑張ってたお前なら出来る。
ふざけんなよと思うだろうけど、しゃーない。
ギリギリまでそこにいたら、いざお前が外に出るべって思った時に、大量出血でお前も母ちゃんもthe endよ。
母ちゃん、お前の父ちゃんに、元気なお前を会わしてやりたいんだよ。
母ちゃんだって、お腹に感じるだけじゃなくて、お前をこの目で見て、抱っこして、泣かれたり笑われたりされたいんだよ。
本当のこと言うと、シャバはダルくてさみしくてとても怖い面倒な場所なんだ。
母ちゃんお前に嫌な思いして欲しくないのに、なんでわざわざこっちに来て欲しいのか、会いたいって気持ち以外、正直自分でもよくわからない。
でもお前を待っている人が何人もいるよ。
試しに来てみなよ。
明日はよろしく。
母性愛とかわからん
無事に産まれ、健康に育って欲しいけど、「母性愛」と言われたら首を傾げます。
産まれたらブワーッと「なんて宇宙一可愛いの!」とか思うのでしょうか。
今は可愛い可愛く無いとか、そーゆー感覚とはまた違う気がします。
ただ確信しているのは、この子に何かあったら私は一生後悔するだろう、ということ。
世間の目が怖くてそう思うのか、旦那くんをはじめとする家族をガッカリさせたくないのか、それこそ「母性」がそう思わせるのか、判断がつきません。
別に「母性」だの「世間体」だのなんと名前が付こうが、産んで育てることに変わりは無いんですが。
出産までのカウントダウン(あと3日!)が始まって、どうにも不安でいけませんねコリャ。
入院生活で親しい人が側におらず、愛猫さんにも触れなくて、無益なことを昼夜問わずグルグル考え続けています。
現状から過去まで遡り自分の情けない姿を思い返しては、このまま産んで大丈夫か⁉︎と不安になるのです。
ああだから、エステシャンさんに「振り払う時」と指摘されたんだなぁ…。
自信持たなきゃ。
あうあうあ〜〜
ある日いきなり心音無くなってたらどうしよう
妊娠中期くらい、まさか自分が長期入院をするなんて思わなかった頃、当時ドラマ化もされ話題になっていた鈴ノ木ユウさんのマンガ「コウノドリ」を大人買いしていました。
好きなブログで「勉強になる!」とプッシュされていて、初産で何が分からないのかさえ分からなく不安だった自分のために、プラス、旦那くんにも読ませて、よくある「妊娠に無理解な夫による無神経な仕打ち」を回避しようという下心でした。
で、結果すごく面白くて勉強になって、旦那くんと先を争いながら既刊12巻一気読みをし、病室にも持ち込みました。
(以下ネタバレあります。)
妊娠と出産にまつわる感動あり笑いありのいろんなエピソードの中で、別格で怖かったのが
「ある日いきなり胎児の心音が無くなる」
です。
早産の可能性ありで入院中の妊婦さん。
病院の管理下で毎週エコーの他、毎日心音も計測され、万が一の早産に対しても万全の準備がされてる中、ある日の計測で昨日までしっかりあった心音が無くなっている…。
つまり、赤ちゃんが何の前触れも無く、お腹の中で死んでしまっている。
死んでしまってる事実があるだけで、これまで全く予兆も無く、赤ちゃんの解剖でもしなければ死因は不明(しかも解剖すれば必ずわかるわけでも無い)。
これ1番いっちばん断トツで、どうしようも無いエピソード。
他にもいきなりの交通事故で母体死亡や、実は甲状腺異常があって母子共に…なんて残酷な話しはあるんですが、これらはまだ後出しジャンケンを承知で「出歩かない」「しっかり検査」とかなんとかイチャモンは付けられるんですよ。
でもこのパターンだけは、どうしようもない。
さすがの鴻鳥先生も何にもできない。
泣き声を聞かせてくれない赤ちゃんの分娩…
隣の分娩室から聞こえてくる元気な産声…
何これ。
こんな残酷な話しフィクションだと思いたいけど、胎動を感じてからお腹の中で赤ちゃんが死亡する例は1000人に2人くらいあるとのこと。(「Baby+ お医者さんがつくった妊娠・出産の本」日本産科婦人科学会 監修 ←病棟の廊下にあった本)
入院していて唯一の安心は、何かあってもすぐ側にお医者さん達がいること…なのに。
なーのーにー!
絶賛妊婦中!な自分にとっては、どんな怪談より恐ろしく、このエピソードを思い出す度そっとお腹に手を当ててみるのです。
予防のしようの無い不幸であれば、気にするだけ損だと、なるべく考えないようにしているのですが…
これが広告部分だけなのに、またしても、ある日心音無くなってる系!
「昨日みたいにお腹を蹴ってよ!」ってマジ勘弁して。
幸いにして現在のところ、私のお腹の中にいる人は⒉30分置きに激しい家庭内暴力を繰り返してくれています。
帝王切開予定日は今週3月11日金曜(震災の日!)。
後4日持ちこたえてくれ!
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